★東洋医学入門〜その14〜
前回までは、五臓六腑の五臓のお話をして来ましたが、今回から六腑のお
話をして行きたいと思います。
六腑とは、胆、小腸、 胃、大脇、膀胱、三焦の六つの腑を言います。
今回は胆についてのお詣です。

胆は決断や勇気を主る腑
東洋医学の書、黄帝内経には胆とは身体の中央に鎮座して、全身の重心と
なり、公平中立の立場で落ち着いて他の臓腑の活動状況を監視し、大所高
所からその適否の決断に任ずる器官であり、また、心の落ち着きは大胆さ
や勇ましさに通じておりこれ を胆が主る、と書いています。
これは、すべての臓腑活動の行動は胆が行っているという事です。
私たち人間の思考、計画は膿の中の肝で立てられます。その立てられた思
考、計画は胆の決断力によって実行に移されます。
胆の気がつよければ決断力が優 れて精神的なストレスに対しても抵抗力が
強く何事にも動じないのですが、胆の気が弱くなると、少しのことでビク
ビクしたり、しばしため息をつくようになります。

膿は楕汁(膿汁)を蔵する
胆以外の総ての腑は飲食物、及び大小便などの濁ったものを貯蔵したり輸
送したりしますが胆は六腑の一つで有りながら濁り のない清浄な液体(
胆汁)を貯蔵します。胆汁とは肝の気が余った物が胆に集まってなります。
この胆汁は胃脾の消化機能を助 けています。この働きが不調になると飲食
物が胃から逆流して口が苦くなったり苦汁を嘔吐したりします。

胆は奇恒の腑
腑の共通の性質に「精や気血を蔵さない」と有りますが、胆は精汁の貯蔵
と分泌を行っており、また、他の腑のように飲食物 の運搬、伝化、排泄に
直接関与していないので奇恒の腑と呼ばれ、他の腑とは少し違っています。

鍼灸師 村田雅文