身近な漢方薬 〜その8〜 ヨモギ(艾葉)
春先から初夏にかけて山野や路地に自生するヨモギの葉を摘んで草餅を作ります。草餅を食べると一切の鬼悪気を治す。と本草綱目という古い薬の本に書かれています。ヨモギの根は焼酎につけるとヨモギ酒となり、喘息や気管支炎に有効です。生の葉をつぶして傷口や虫刺されの個所に貼ると早く治ります。乾燥した葉を袋に入れ入浴剤として用いると良い香りがして体が心から温まります。皮膚がスベスベして皮膚病や美容にも効果がありますので市販の入浴剤よりも経済的です。
干した葉を艾葉(ガイヨウ)と呼び、漢方生薬のひとつです。芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)は艾葉にロバの膠(ニカワ)や甘草、当帰、地黄、芍薬、川芎を組み合わせた処方です。止血作用があり、痔、鼻血、血尿、不正出血に用います。当院では大腸ポリープの切除後に一週間服用してもらっています。
ヨモギの葉をもんで粉にして残った小さな白毛を集めたものが、お灸のモグサです。
萌える草がモグサに変わったもので、「伊吹山のモグサ」が有名です。
両の手に桃と桜や草の餅 芭蕉