★身近な漢方薬〜その55〜サクラ 桜皮(オウヒ)

気象庁が桜開花予想をやめました。理由は民間の予想の方がよく当たるからのようです。桜前線はソメイョシノの開花を追って南から北に上っていきます。花が一斉に咲くソメイョシノの歴史は意外と浅く、江戸の末期に江戸染井の植木屋が、エドヒガンザクラとオオシマザクラをかけ合せて作ったと言われています。
 古くからある山桜の樹皮を5〜8月にかけて剥いで乾燥したものが漢方生薬の扁血です。昔から民間薬として魚の中毒、募麻疹、腫れ物などの皮膚病や咳止めとして煎じて用いられてきました。現在市販されている咳止めブロン液にも桜皮エキスが入っています。
 十味敗寿
1碁という処方は有名な華岡青州が創った名薬で、分泌物の多いアトピー性皮膚炎やおできによく効きます。桜皮の他桔梗根など9種の生薬が含まれ合わせて十味になっています。

山桜皮を剥がれて咲きにけり   一茶