★身近な漢方薬 〜その19〜
春ともなるといたる所に黄色い花をつけたタンポポが咲いていたものですが、最近ではさっばり見かけなくなっています。タンポポにも色々と種類があり、明治時代に西 欧人が食用として持ち込んだセイヨウタンポポが勢力を伸ばして、在来種のタンポポは劣勢となっています。(ガクが上を向いているのが在来種(左)で下を向いているのが 西洋種(右)です。) いずれのタンポポでもその根を掘って乾燥させたものを蒲公英(ホコウエイ)と言い、漢方生薬です。処方として蒲公英湯があり、蒲公英の他、当帰、香附子、牡丹 皮、山葵から成り、乳汁分泌の不充分な妊婦に使用します。これに牛乳やぜんざいと共に葛根湯を併用すると更に効果があるとされています。 蒲公英は単独でも民間薬として使用され、解熱、健胃、催乳、利尿作用があります。ヨーロッパでもタンポポは苦味健胃薬として古くから用いられ、若葉は茹でたり、 そのままサラダ菜として食べています。また根を細かく刻んで一度軽くあぶり、コーヒー の代用として飲まれています。カフェインがないので最初は少し物足らない味ですが、慣れるとなかなかイケます。今健康食品としても人気があるようです。 たんぽぽの並びほほけぬ草の中 虚子